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笑ってコラえて!6月祭【オリンピック金メダル影の立役者!伝説のシューズ職人・三村仁司】

公開日: : 最終更新日:2018/07/07 テレビ

2018年6月6日放送の笑ってコラえて!6月祭の【日本列島名前の旅】では日本中の三村さんの中からすごい三村さんを探す旅となり、マラソン五輪を始め、アスリートが履く靴を影で支える伝説のシューズ職人・三村仁司さんを取材した。彼の作る靴の愛用者には有森裕子・高橋尚子・野口みずきとそうそうたる選手の名前がずらり。しかし彼が各選手にメダルをとらせた方法は三者三様、全て異なるこものであったという。そこでスタッフは三村さんに会いに兵庫県・加古川市にある工房【M.Lab(エムラボ)】へと向かう。中に通されると伝説のシューズ職人・三村さんが笑顔でお出迎え、取材をさせてもらうこととなる。

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取材を進める中でこの工房へとやってきたのは平昌オリンピックスピードスケート500メートルでオリンピック新記録で金メダルを獲得した小平奈緒選手。1000メートルでも銀メダルに輝き日本中を沸かせた彼女であるが、小平選手も10年前から三村さんに練習の時に陸上で使うシューズを作ってもらっているのだという。もともと陸上でのトレーニングが苦手で捻挫をしやすかったりしたというが、三村さんに靴を作ってもらってからは怪我が少なくなり練習でもしっかり走れるようになったというから驚きだ。この日、小平選手はオリンピックの報告と新しいシューズの測定で工房を訪れた。

メダリストも履く三村さんのシューズは一体どのように作られているのであろうか。ミムラボ工場を見せてもらう。シューズの基本構造は足を包むアッパー、地面に直接触れるアウトソール、その間にあるミッドソールという3つの部分からなる。まずはアッパー作成、水圧でカットできる特殊な機械で生地を裁断するが全ての部分は素材が異なるという。続いて縫製作業、先ほどの部品を一つ一つミシンで縫い付けていくのだがその糸にもこだわりがあり、中の方は足に直接あたるので柔らかい糸で、上の糸は力が加わったりするため切れにくい糸で縫っていくという。靴紐を通す穴あけも一つ一つ手作業で行う。すべての部品が縫い付け終わるとできあがった生地を足型にいれ成型作業に入る。アッパーを足型に沿わせ、わずかな凹凸も許さない丁寧な研磨作業に入る。履く人に少しの違和感も与えないために調整はミリ単位で行う。そしてシューズの底にのりをつけて作業でソール部分を貼り付ければ片足およそ145グラム、M.Labシューズの完成である。現在この工房にはスタッフが15人いるがそれでも一日15~20足が限界だというからその丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。以前はこの全行程を三村さん一人で行っていたというから驚きである。

ここでアスリートを影で支える三村さんのメダル獲得作戦の歴史を振り返る。1948年、兵庫県・加古川市で3人兄弟の長男として生まれた三村さん、幼少期は当時の大スター・長嶋茂雄に憧れる野球少年であったという。しかし中学校にあがると1年に1回あるマラソン大会で毎年2番であったことからどうしても1番を取りたいという強い気持ちが沸き起こり、陸上の名門・兵庫県飾磨工業高校へと進学する。長距離でインターハイに出場するほどの成績を残し、いくつかの大学から誘いを受けた三村さんだが、どの大学にも進まず地元のシューズメーカー・オニツカ株式会社に就職。1949年に希代の実業家・鬼塚喜八郎が設立したオニツカはのちに総合スポーツ用品メーカー・アシックス(asics)となるのだが、三村さんは「良い靴を作りたい」という気持ちがあったため、大学ではなくオニツカに就職したという。その理由は高校における練習にさかのぼる。当時グラウンドは整備されておらず小石の多い土手を走るのであるが、履いていた靴が綿製であったためカーブを曲がる際には右外側の小指の付け根のところが10円玉くらいの穴がすぐに開いていたという。家にもって帰り、母親に外から継ぎあてをしてもらっていたというが、そうした中でもっと長持ちして走りやすい靴を自ら研究して作りたいという思いが強くなっていったという。18歳の三村さんが配属されたのはランニングシューズに限らず、レスリング・野球・サッカーなど約50種類のシューズを基礎から学ぶ製造2課。5年後には研究室へと配属、素材の研究へと明け暮れる。そして3年後の1974年。三村さんに転機が訪れる。鬼塚社長に呼び出されたのだ。三村さんは社長に「トップ選手への別注シューズ開発部門を立ち上げる。その担当をやってくれ」と言われる。当時はトップ選手でも市販のシューズを履いていた時代であったが、社長は選手の細かい要望に応えた別注シューズの開発で宣伝効果を狙うというどこの企業も行っていなかった戦略をうちたてたのだ。三村さんは製造課を経験、研究室を経験、また、陸上選手としての経験も買われ若干26歳だったが白羽の矢がたったのだという。オリンピック選手に会えるとワクワクした気持ちが半分あったものの、選手はわずか1人しかおらず、新設部署であるためにシステムもノウハウもなく足型をとるやり方もわからなかった三村さんは同僚を練習台に足型をとり、独学で習得していったという。そして当時のマラソントップ選手、君原健二選手、寺沢徹選手への聞き込みの日々が遂に訪れる。クッションをもっと強くしてほしい、ソールの厚みをソールとつま先とかかとで変えてほしいなどというトップアスリートならではの細かい要望を聞き、会社に戻ると素材選びから裁断・成型・仕上げにいたるまで1人で行った。とにかく選手に言われた通りのシューズを作ることを第一目標に作業に打ち込む中で、三村さんは選手が皆一様に小さい靴を履いていることに気づく。通常走り始めて15分ほど走ると足が膨張し始め、45分で最高温度に達するのであるが、足が膨張するということが分かっていなかったため、選手は足がただ痛くなってくると感じているのみであった。また布製の靴は蒸れることで縮み、結果選手はマメや外反母趾に悩まされることになっていたという。そこで三村さんはただ選手の希望を聞くだけでなく、先回りして進むべき方向に導くシューズを作ろうと思うに至る。そしてそこで出会ったのがナイロン素材。靴のアッパーとしてナイロンを使用した画期的なマラソンシューズが1981年に完成すると従来の布製の靴よりも柔らかく・変形しづらく・軽いという利点があった。そして1984年のロサンゼルス五輪、当時日本人でマラソン金メダル最有力候補と言われた瀬古利彦選手は三村さんのナイロン製の靴を履く予定であったが、日本国民からのプレッシャーを受け、何年もの間親しんできた布製の靴で勝負に臨み結果は14位と惨敗。その後すぐにナイロン製の靴に変更したという。

そして1992年バルセロナ五輪。本番4日前、アシックスのブースにいた三村さんのもとへ血相を変えた有森裕子選手と監督がやってきた。練習中に木の根を踏んでかかとを故障し何とかしてほしいと依頼される。三村さんは自らが作ったシューズを解体し、かかとにスポンジを入れたり、アウトソールをゴムからクッション性のある素材へと変えたりした。本番当日。有森選手は足の痛みをかかえながらもトップの選手と死闘を繰り広げ銀メダルを獲得する。

2000年シドニー五輪。高橋尚子選手は常に左股関節と左足のマメに悩まされていたというが、連日高橋選手の足のマッサージをしていた三村さんは高橋選手の足の長さが左右で異なることに気づく。測定してみると左足が8ミリ長かった。そこで三村さんは右足のかかとが数ミリ高いにもかかわらずクッション性は左右で同じになる靴を作り高橋選手は症状がみるみる改善していった。しかし高橋選手は「左右で高さが異なると思うと気持ちが乱れるので同じ高さに戻してほしい」という。三村さんは過去ロサンゼルス五輪にて選手の言う通りにしてメダルを逃したことを思い出し、高橋選手にわからないような左右の高さが異なる靴を作る決心をする。すると高橋選手はそのことに気づかず、日本女子マラソン史上初の金メダルに輝いた。大会3日後に高橋選手に三村さんは事実を告げると心底びっくりしていたという。

2004年アテネ五輪。ここは高低差も激しく気温35度という過酷なレース会場であった。三村さんは選手よりも早く現地入りし、実際のコースを自分で確認、路面が滑りやすいという特徴をつかみ、アウトソールに籾殻を混ぜグリップをきかせた靴を作り、そして野口みずき選手はその靴をはいて見事金メダルへと輝いたのであった。

2006年にはそうした功績が認められ、黄綬褒章を受章した三村さん、2009年にアシックスを定年退職した後も多くの選手から靴を作ってほしいという依頼をうけ同年ミムラボを設立、青山学院大学陸上競技部に靴を提供し、箱根駅伝初優勝に貢献した。また陸上だけでなく、イチロー選手、錦織圭選手、香川真司選手などトップアスリートにも靴を提供しているという。母が手直しした靴から50年、常に選手のことを考え、時に選手を欺きながらも信念をもって素晴らしい靴を提供している三村さんは現在の世界のスポーツ界を支えている偉大な人物であった。

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